【担い手を継承すること、川の素晴らしさ】後編  地域唯一の八百屋&リバーサップ専門店代表

⏺音声でのインタビューはこちらから聴けます⏺

リバーサップとの出会い

 

── もう一つの仕事でもあるリバーサップについてお聞きしたいのですが、いつ頃出会ったものなのでしょうか?

野村: 昔から趣味としてカヤックを楽しんでいたのですが、もっと本格的に川と関わるものに取り組んでいきたいと思うようになりました。前職はラフティングとカヤックのインストラクターです。

それまではラフティングやカヤックが川の遊びの中で一番面白いものだと思っていたんですが、リバーサップに出会ってからはその考え方が変わってきました。

(リバーサップに参加するお客さんにレクチャーをする野村さん)

 

── 出会ったそのときは、どんな印象を持たれたのでしょうか?

野村:どんな人でも楽しむことができる川の遊びだと感じました。例えばラフティングの場合、単独ではなく団体で行わなければならないので人数の制約があります。さらに急流を下るスポーツでもあるので、多少の危険が生じたり怪我の恐れも出てきます。

それに比べるとリバーサップは一人でも楽しめるものなので、好きなタイミングで自由に動けます。またリバーサップ自体が浮力体であるため、仮に落水しても救命道具としてしっかり機能します。

川の遊びの中では群を抜いて安全性が高い道具なので、小さいお子さまからお年寄りまで楽しめるスポーツなんです。

 

 

── 危険が少ないのはうれしいですね。リバーサップは足を曲げずに立って川を移動していくそうですが、水の上でどんな感覚が得られるのでしょうか。

野村: まず、水上に立ったままでいるスポーツって他にないんですよね。その時点で既存のスポーツとは比べられないというか。不思議な感覚が得られると思います。

また、自分の周辺の川底がきれいに見えるので、川の地形や水の中にいる生物もしっかり見えます。水の動きも座っているのと立っているのと感じた方が全然違うので、その感覚がやみつきになる人もいます。

(初心者にもすぐに慣れることができるのもリバーサップの特徴)

リバーサップの魅力について

 

── 水の上に立ちながら自分の操作で移動していくスポーツは他にないかもしれませんね。他にどんな魅力があるでしょうか。

野村: リバーサップの場合、ラフティングやカヤックのように水の急流な場所に行かずとも、激しいところに行った時と同じくらいの満足感、「やった感」が得られます。常に立って進んでいくので、より繊細な全身運動が求められるからなのかもしれません。

リバーサップの方が、よりその人の素性が見えやすいんですよね。全身が見えるので、その人が腹を決めて川に挑んでいく姿や、自分を奮い立たせていく姿がはっきりと現れます。

そして、一人ですべて操作しなければならないので状況判断の目が養われます。人間って厳しい環境に立つと、自分が持っているすべての能力を総動員するんですね。頭のてっぺんからつま先まで全身で挑んでいく姿が見えてしまう。その人となりが現れるのが、リバーサップというスポーツの特徴です。

(立つだけでなく、膝をついて進むこともできるリバーサップ)

 

── そこまで言われるとなんだか興味が湧いてきました。

野村: ぜひともやってみてください。川下りの経験がある人でも、同じポイントをカヌーで下るよりも、リバーサップで下る方がとても難しく感じると思います。一人で操作をして、川の上に立って移動していくため、かなり勝手が違ってくるので。

 

── 水の上をスキーで下っていく感じでしょうか。

野村: それに近いかもしれませんね。運動神経に自信がない人でも意外とできたりするので、お子さん連れのご家族でも気軽に参加してもらっています。

(一緒に川を下ったメンバーとは自然と仲良くなれます)

 

── 今までこんな川遊びがあることを知りませんでした。自分も一度チャレンジしてみたいなと思いました。

野村: 僕の中では、リバーサップ以上に川と親しむことができる遊びはないと思っています。思えば自分の人生、ずっと川に魅せられ、導かれてここまで歩んできました。これからはこのリバーサップという道具で川と携わっていきたいと思っています。

そして、この楽しみを他の人にも伝えていくことで、自分自身が豊かになっていけるのではと感じています。仕事という形でこれからも担い手を務めていけたらと思っています。

 

「日本で一番きれいな川はどこか?」と聞かれたら、高知に流れる四万十川だと思っています。
「日本で一番楽しい川はどこか?」という目線だと、高知と徳島にまたがる吉野川が挙げられます。

リバーサップは、四季を通じ川を楽しめスポーツなので、ぜひとも高知まで遊びにいらしてください。

インタビューさせてもらった人

野村 直哉(のむら なおや)

高知県中土佐町出身。現在、本山町寺家在住。20年間、ラフティングとカヤックのインストラクターを経て、現在は本山町にて嶺北地域で唯一の八百屋を運営。リバーサップ会社「そらみるアウトフィッターズ」を設立。吉野川と四万十川を中心にリバーサップの楽しさを伝えている。

SORAMIL そらみるアウトフィッターズ http://soramil.co.jp/

【高知県長岡郡本山町に店舗を構えるリバーサップのお店。吉野川と四万十川をリバーサップ川下りに案内してくれます】