先生は要介護者? 逆支援型デイサービス長老大学から見える可能性


2017年3月29日

【この記事は、田舎ラボ事業の一環です。嶺北の暮らしや移住に興味を持つ若者が、地域での仕事やナリワイに焦点を当てた取材をお届けします】

突然ですが、みなさん「逆」支援型デイサービス、という言葉をご存知でしょうか?
 
高知県の中山間地・嶺北には、この逆支援型をコンセプトとしたデイサービスがあります。
 
実は、この逆支援型デイサービスは、各方面から先進的な取り組みとして高く評価されています。
 
今回は、このコンセプトを生み出した本山町の「長老大学」を訪れて、代表の澤本洋介さんにインタビューさせてもらいました。
 
 
千葉から高知へ 移住の理由はなんと「川」?
千葉県千葉市で生まれ育ってきた澤本さん。
 
東京の大学を卒業後、千葉で鍼灸マッサージの資格を取ってすぐに就職。
 
順調な人生設計に思えますが、澤本さんにはある想いがあったそうです。
 
 
「どうしても綺麗な清流の近くで生活したい」
 
 
趣味で始めたカヤックとカヌーからふくらんだその思いを実現するべく、住み慣れた千葉から高知に移住することを決意。
 
まずは高知市内に引っ越して、資格を活かした仕事をしていました。
 
しかし、より川に近い場所に住みたいという思いがつのり、高知市に来てから2年後、清流・汗見川にほど近い本山町に移住したそうです。
 
 
高齢者は介護されるだけの存在でいいのか?「長老大学」に込めた想い
もともと移住後はデイサービスを開業したいと考えていた澤本さん。
 
そのコンセプトは千葉にいたころに読んだとある書籍に強く影響されたそうです。
 
その本とは、民族学者の六車由実さんの著書『驚きの介護民俗学』。
 
この本の中で、著者は「聞く」ことによる高齢者ケアの新たな可能性を示しています。
 
 
澤本さんは自身のこれまでの仕事の経験からも「高齢者は下の世代に伝えることのできる豊かな知識・経験を持っている」と感じており、これを読んで強く共感したとのこと。
 
そんな想いから高齢者が若者に人生の経験を伝えて、伝え・教える場としてのデイサービスの在り方を「逆」支援型デイサービスと名付けて、実際に取り組んできました。
 
 
「勉強させていただいているのは実は若者のほうで、高齢者の知識や経験は社会の宝だ」と、話す澤本さん。
 
 
『長老大学』の名前にはそんな思いが込められているのですね。
 
 
社会の宝を残すために 長老大学の独自の取り組みとは
実際に長老大学を訪れてみると、職員の方々はみなメモ帳片手に高齢者の方々の話を聞いている様子が目につきます。
 
これは「聞き書き介護」という独自の介護手法であり、開業から10年間変わらずにおこなわれている取り組みです。
 
取材中にも高齢者の方からは様々な話が飛びかい、職員の方々は興味深くそれをメモしていました。
 
 
「職は定まっていないといけないが、そこに留まってはいけない」
 
「人の”伸び”よりも、自分の”詰まり”を見ないといけない」
 
 
さまざまな名言が飛びかい、いかに聞き書き介護が可能性に満ちているかを実感しました。
 
「理想の仕事を理想の場所で作り上げる」ということ
「清流のほとり」という理想の場所で「長老大学」という理想の仕事を作り上げた澤本さん。
 
どこまでも自分の気持ちに正直な様子がとても印象的でした。
 
 
地方だからこそまだ掘りつくされていない可能性が眠っていて、自分の理想に対しても貪欲に近づいていける。
 
澤本さんのはつらつとした仕事ぶりを見ていたら、そんなことを考えました。
 
 
移住者の多い嶺北地域には、それだけ多くの可能性が眠っているのでしょう。
 
ここ長老大学の取り組みは、理想を形作るヒントを私たちに見せてくれているのかもしれません。
 
 

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